土井善晴『一汁一菜でよいという提案』

中だるみ気味の栽培課題を再建するためにも生活を整えるためにも、「すべてのはじまり」である食事を確立すべく表題の本を再読した。

暮らしにおいて大切なことは、自分自身の心の置き場、心地よい場所に帰ってくる生活のリズムを作ることだと思います。その柱となるのが食事です。一日、一日、必ず自分がコントロールしているところへ帰ってくることです。それには一汁一菜です。一汁一菜とは、ご飯を中心とした汁と菜(おかず)。その原点を「ご飯、味噌汁、漬物」とする食事の型です。

ご飯は日本人の主食です。汁は、伝統的な日本の発酵食品の味噌を溶いた味噌汁。その具には、身近な野菜や油揚げ、豆腐などをたくさん入れられます。それに漬物。野菜の保存のために塩をして、発酵しておいしくなったのが漬物で、それはいつもある作り置きおかずです。

一汁一菜とは、ただの「和食献立のすすめ」ではありません。一汁一菜という「システム」であり、「思想」であり、「美学」であり、日本人として「生き方」だと思います。

この本の中で引用されている著書などを参考のため挙げておきます。

  • 石川九楊『二重言語国家・日本』
  • 岡潔:生存競争とは”無明(むみょう)”でしかない
  • 山極壽一『ヒトの心と社会の由来を探る』
  • 秋月辰一郎『体質と食物 健康への道』
  • 魏志倭人伝
  • 本居宣長:もののあはれ
  • 堀米良男:山仕事をしながら米、栗や野菜を作って生活している
  • 雲田實:味噌作りのマイスター「私は植物を枯らしたという記憶がありません」
  • 田中一光(グラフィックデザイナー):雲田さん同様に「僕がちょっと可愛がってやるとだいたいのものが元気になるのです。どうして欲しいかが、見ていると本能的にわかります」
  • 箱崎典子「やきものいこま」
  • 佐藤卓(デザイナー):縄文研究の第一人者・小林達夫先生に教えを請い、みずから企画して国立科学博物館に提案して「縄文人展」という展覧会を開催、後に『JOMONESE(縄文人)』という美しい本を作られた
タイトルとURLをコピーしました