田村余一・田村ゆに『都会を出て田舎で0円生活はじめました』

研修・読書

ネットニュースの書評で知り、面白そうと思いすぐ書店で購入。コンバインと乾燥機の掃除やふしだらな生活で持病が悪化しひ弱な体が悲鳴を上げたので、今日は農作業にはもってこいの晴天だったがお休みし、本を一気に読んだ。予想通り大変面白かった。生き方として一つの有力な答えになると思う。

僕自身帰農した当初は、自然栽培で生計を立てるモデルを目指したが、「自然栽培」も「生計を立てる」もとんでもなくハードルが高いことを思い知り、特に「生計を立てる」は早々と諦めた。専業農家で生計を立てるのは非常に困難で、僕ができているのは定年モデルでしかないことを悟った。これはこれで一つの答えではあるが、現役世代には適用できない。だから現役層含む普遍的には「半農半X」や「自給農」がまだしも実現できそうな有力なモデルだろうとぼんやりと思い描いていた。ただこれとて簡単ではないだろうが…。

帰農にはもう一つの側面「田舎暮らし」があり、こちらには魅力しかない。特に東京直下型地震や南海トラフ地震はいつ起きてもおかしくないと言われており、また都会型の市場経済発展が自然破壊や人間破壊を生み限界を迎えていることもあり、地方への移住は喫緊の課題だと思う。しかし、それが進まない大きな理由に「豊かさ」や「仕事」がないことが挙げられると思うが、それを逆転突破するのがこの著書『都会を出て田舎で0円生活はじめました』にはある。

ここには経済的な「豊かさ」ではなく、自給自足の充実した生活の「豊かさ」があり、「お客様は神様」的な上下関係のある消費者と供給者間の「仕事」でなく、困っている人を助ける「自給目的の仕事」(著者の具体的な仕事は「御用聞き」)がある。半農半Xの「X」って専門能力が必要で結構ハードルが高そうと思っていたが、地域のなんでも屋さん「御用聞き屋」なら少しハードルが低くなった気がした。田舎は限界集落とまでいかなくても人口の3~4割が65歳以上の高齢者だったりするので、日常生活におけるお困りごとは多い。それらを解決したら本当に喜ばれ、謝礼をいただけるのだ。

ぜんぶタダでもらった廃材で建てた手造りの家で、電気・ガス・水道を契約していない。スーパーでの買い物もあまりしない、ほとんどお金を使わない生活。それでも家族3人、充分生活できている。例えば電気は持ち運びできるソーラーパネルとバッテリーでまかない、スマホもタブレットもパソコンもあり、SNSや動画の配信もやっている。ガスの代わりは落ちている枝や建築廃材を燃やす。水は湧き水と町内の名水を使う。家庭菜園では無肥料・無農薬の自家採種野菜や果物を栽培する。野草や山菜もあるしニワトリもウロウロしている。いわゆる田舎ので自給自足暮らしだが、車もインターネットも使う結構ハイブリッドな自給自足である。

ここには魅力いっぱいの生活があるので、是非読んでください。そして自分もやりたいと思った人は、田村さんちの見学会などもあるようなので参加してみてはいかがでしょうか。

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