大型の台風14号が最接近しているので、今日は読書。養老孟子さんのYouTubeで紹介されていた表題の本を読んだので、役立つ内容をまとめておきたい。
第4章 あなたの長寿遺伝子を今すぐ働かせる方法
- 食べる量を減らせ:このことは古代ギリシャの医師ヒポクラテス以来、医師たちが説いてきた。動物実験や100歳以上の住民が多い沖縄での観察など様々な研究で確かめられている
- 間欠的断食(画期的な健康増進法):現時点で人気のある方法は、朝食を抜いて遅い昼食をとるものや、週に2日はカロリーを75%に減らすもの、週に2~3日は食物を一切摂らない、あるいは毎月丸々1週間を空腹で過ごしてもいい
- アミノ酸を制限する(なぜ肉は危険なのか):アミノ酸は人体のあらゆるタンパク質を組み立てる材料で摂取しないと死ぬ。肉類には9つの必須アミノ酸のすべてが含まれているが、動物性タンパク質に片寄った食生活を送っていると、心血管系疾患による死亡率とがんの発症率がともに高まる。植物性タンパク質からでもすべてのアミノ酸を摂取できるが、同じ重さで比べると植物からでは摂り込める量が限られるのが玉にきずだ。しかしそれがかえって幸いする。体内でのアミノ酸の欠乏はサバイバル回路を作動させるのにちょうどいいストレスになるから
- mTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)を活性化せるアミノ酸の摂取量を控える:アミノ酸の中でもメチオニンやアルギニンなどを制限すると良い。これらは牛肉、仔羊肉、鳥類の肉、豚肉、卵に豊富に含まれる一方で、植物性タンパク質では少ない傾向にある。但し、低タンパク質で野菜中心の食事を心掛けても、体にとってのストレスを栄養の面で作っているだけで、長寿遺伝子の持てる力をすべて発揮させるところまで行かない。物理的なストレスを加えてやる必要がある
- 運動をする人ほどテロメアが長い理由:運動を行えば血行が良くなるが、運動の効能はそこにあるのではない。頻繁に運動する人ほどテロメアが長かったのだ。運動をするとNADの濃度が上昇し、サバイバルネットワークを作動させる。そのおかげでエネルギーの産出量が上がり、筋肉は酸素を運ぶ毛細血管を増やし、心臓や肺を健康にし、体を丈夫にし、くだんのテロメアを長くする。鍵を握るのはサバイバル回路によってコントロールされる「ホルミシス」のプログラムだ。ホルミシスは体を混乱させない程度に軽いストレスを与え、細胞の防御機能を目覚めさせる作用を持つ
- 理想の運動強度はどれくらいか:健康を増進する遺伝子を一番多く活性化したのは「高強度インターバルトレーニング」だった。これを行うと心拍数や呼吸数が著しく上昇する。激しい運動をすると呼吸は深く速くなり鼓動は最大心拍数の70~85%になる。汗をかき一息つかないと二言三言しか話せない。これが低酸素応答と呼ばれるもので、体に適度なストレスを与えるのにうってつけだ
- 寒さに身をさらして長寿遺伝子を働かせる:体が安定した平衡状態を求めようとすることを「ホメオスタシス」といい、あらゆる生物に共通する原則であり、これがサバイバル回路を導く力となっている。だからこそホメオスタシスはいたるところで見られ、とりわけ気温が低いときに顕著に現れる
第5章 老化を治療する薬
- 2型糖尿病治療薬として手ごろな価格で処方されるメトホルミン:メトホルミンを服用している患者はそうでない人より、糖尿病の改善とは無関係に、際立って健康状態がいいことが観察された。ある研究では、服用者の間で認知症、心血管系疾患、がん、虚弱、うつ病になる確率が低減されることが確認された。メトホルミンはAMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)を活性化させる力によりNAD濃度を上昇させ、サーチュインのような老化への防御機構全体を始動させる。病気の上流でサバイバル回路を働かせ、エピゲノムの情報が失われるのを顕著に遅らせ、代謝を抑えることであらゆる器官が若く健康でいられるようにする
- 抗酸化物質レスベラトロール:健康増進に役立つ様々な分子とその誘導体は、ストレスを受けた植物によって大量につくられる。ブドウからはレスベラトロールが、ヤナギの樹皮からはアスピリンが、ガレガソウからはメトホルミンが、緑茶からはエピガロカテキンガレートが、果物や野菜からはケルセチンが、ニンニクからはアリシンがそれぞれ得られる。サバイバル回路は動物だけでなく植物にも備わっている。レスベラトロールは何百件という研究結果から、数十種類の病気(種々のがん、心臓病、脳卒中、心臓発作、神経変性、炎症性疾患、創傷治療など)に対して予防効果を発揮するほか、マウスの健康と回復力を全般的に高めることが報告されていった。これら発見が引き金となって、老化を先延ばしにできそうな化学物質をもっと見つけ出そうと世界レベルで研究競争が始まった
- サーチュインの燃料となるNAD:サーチュインは化学物質で活性化できる。レスベラトロールより何倍も効果が高いサーチュイン活性化化合物の一つがNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)で、これは老化や病気を含む数々の重要な生体プロセスを調整する上で鍵を握る物質であることが分かった
- NADを増加させるNRとNMN:その後、NADの前駆体(生化学反応において特定の生成物の前の段階にある一連の物質)であるNR(コニチンアミドリボシド)やNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)が発見された。NRは牛乳に微量が含まれるだけで、かつては希少な化学物質だったが、今や機能性食品として毎月トン単位で販売されている。NMNは人間の細胞内でも作られているし、アボガド、ブロッコリー、キャベツなどの植物にも含まれている。体内では、NRがまずNMNに変換され、次にそれがNADに変わる。NAD増強分子はマウスの様々な病気を治す効果をもつとともに、老年期に与えてもマウスの寿命を延ばすことができる
- 人間に対する最新の研究:人間に対しても似たような健康効果をもたらすことができると示唆されている。例えば、NMNのサプリメントを飲んだ閉経後の女性が月経を再開した。母が亡くなり退職した70代後半の父親に容赦のない衰えが始まり、境界型糖尿病になり、耳も視力も落ち、疲れやすく不機嫌になることが多くなった。メトホルミンとNMNを摂取し始め半年ほど経った頃、あまり疲れを感じにくくなり、イライラが減り、頭もはっきりしてきたという。20年も異常だった肝臓の数値が正常になり、笑顔が戻り、最近は10代の若者のように動き回っている。風雪の中を6日間も歩いてタスマニア島の最高峰に登ったり、三輪バイクでオーストラリアのブッシュを駆け抜けたり、アメリカ西部で秘境の滝を巡ったりもしている
おわりにー私が実践していること
- NMN1グラム、レスベラトロール1グラム(自家製ヨーグルトに振り入れて混ぜる)、およびメトホルミン1グラムを毎朝摂取する
- ビタミンDおよびK2の1日推奨量を摂取し、83ミリグラムのアスピリンを服用する
- 砂糖、パン、パスタの摂取量をできるだけ少なくする。デザートを食べるのは40歳でやめたが、こっそり味見することはある
- 1日のどれか1食を抜くか、少なくともごく少量に抑えるようにする
- 数か月に一度、専門家が自宅にやって来て私の血液を採取し、分析してきた。どれかのマーカーが最適値を外れていたら食物や運動を通じて修正する
- 毎日できるだけ歩くことを心掛け、上の階に行く際には階段を使うようにしている。週末はほとんど毎週、下の息子ベンと一緒にジムに行く。ジムではバーベルを挙げ、少しジョギングをし、サウナでしばらく過ごしてから、氷のように冷たい水風呂に漬かっている
- 植物をたくさん摂取し、ほかの哺乳類を口にするのはなるべく避けるようにしている(おいしいのは分かっているのだが)。運動したときには肉を食べる
- タバコは吸わない。電子レンジにかけたプラスチックや、過度な紫外線や、レントゲンやCTスキャンを避けるようにしている
- 日中と就寝時は涼しい場所にいるようにする
- 健康寿命を延ばすうえで最適の範囲内にBMI(体重[キログラム]を身長[メートル]の2乗で割った数値)を保つことを目指している。私の場合はそれが23~25である
ブッシュウォーキングに出かけよう―変えられない未来などない
父は現在80歳。山歩きを楽しみ、世界を旅し、新しい仕事も始めた。みんなの希望の星である。