ナチュラルファーマー大集合1 木村秋則さんの講演

研修・読書

2/18(金)13:00~18:00に自然環境と健康を大切にする生産者のための集いin東京&zoom『ナチュラルファーマー大集合』イベントが開催されたので、zoomで参加した。長丁場で盛り沢山だったが、要点だけでもまとめておきたい。主催は(株)ネークルで、当イベントもこちらに案内されている。なお主催者(株)ネークルのCSO(chief strategy officer:最高戦略責任者)須永珠代さんが最初挨拶されたが、ふるさと納税サイト『ふるさとチョイス』の(株)トラストバンク創業者とのことで、有名な方らしい。著書『1000億円のブームを生んだ 考えぬく力』もあるので、いつか紹介できればと思う。

木村秋則さんの講演

では木村秋則さんの講演だが、2年前の『nico10周年祭り』とかぶるところは省略して、何点か残しておく。

肥料・農薬・除草剤の無かった18世紀までの農業を参考にすべきだ。ドイツの文豪ゲーテは日記に、「雑草を育てる・次に大豆を植える・次に麦を育てる・これを繰り返すと食糧は確保できる」と書いている。

栽培の基本は、①土を活かす➡排水状態はどうか?、②作物を活かす➡原種はどこか?、③根を活かす➡畝の高さは適すか?。∴土の乾土効果を活かす(土の中を流れる地下水を管理しよう)

麦の根の働きを利用して、硬盤層破壊と過去投入した資材吸収する。小麦の横に大豆を植え、その横に野菜を植えればよく育つ。大豆は根に共生する根粒菌が大気中の窒素を固定するので、肥料や堆肥は不要。自然生態は、害虫・益虫・内生菌の生物多様性の世界なので、害虫の発生は極めて少ない。

トマトは茎に発根するので、横に植えれば茎から大量の根が出て来て大きく育つ。ジャガイモも従来とは逆に、切り口を上に植えれば、種イモの横にも下にもイモが付き収量がUPする。

自然栽培はじめ環境保全型農業は、CO2はじめ温暖化物質や地下水汚染を抑制するが、課題もある。それは、土壌改良に3~5年の長い年月を要し、技術が確立していないこと。よって官民一体の取り組みが必要である。

【質疑応答】

  1. 雑草との付き合い方:ゲーテは、多種多様な雑草が多様な生き物を育む一番の働き手と言ったが、リンゴ畑にも同様に雑草を生やしている。しかし、野菜の場合は草が日陰を作るので、長めに刈り取っている
  2. 地温を測る:深さ60cmの穴を掘り、10cmおきに測る。デジタル温度計が良い。20~30cmのところが一番温度が低いケースが多いが、その場合はここ(硬盤層)を破壊する
  3. 有機から自然栽培に転換する方法:麦を利用して土の中の養分を吸収させればよい。刈り取った麦は土に埋めると元の木阿弥なので、畑のわきに積んでおき乾燥させた後、畑にばらまく。畑なら2年で田んぼなら3年で自然栽培ができるようになる
  4. 緑肥栽培:多種多様な草を育てる。但し、緑肥をすき込むのはダメ。必ず枯れてから土に戻す(自然の山はそうなっている)。耕作放棄地は宝物。すぐ自然栽培ができる。但し水はけには留意する
  5. 大豆を植えると、根粒の数が2~3年で少なくなり、4年でほとんど付かなくなるので、しばらく植えるのは止める。大豆の代わりに小豆や黒豆を植えるのはダメ
  6. 畑の水はけを良くするには?:排水溝を掘る。隣地が高い場合、境界線を掘る。広い畑は何本か排水溝を設ける
  7. 作土は10cmもあれば十分。山では1cmの作土ができるのに100年かかる。荒く耕し、その後浅く細かく耕す。あまり水をかけすぎない。大豆を植えて土壌作りをする
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