酢酸除草

米作り

12/20のコウノトリ育むお米の反省会で紹介されていた酢酸除草について、『現代農業』2020.9号の記事を読み返した。以下、二つの記事をまとめる。

1 「酢酸なら、選択的に除草できる」滋賀・佐々木茂安(上下の写真)

田んぼでの酢酸散布実験は以下のよう。 雑草が優勢な無農薬圃場(5/28田植えのコシヒカリ)において、酸度15%、10%、5%、2.5%の酢酸を、それぞれの小区画で10a当たり50ⅼを、7/24に噴霧。イネは穂ばらみ期で、雑草はコナギが多く(開花前)、次にホタルイ(開花期)、オモダカは少なかった。

実験結果は以下のよう。 酸度10%以上ではイネにも被害が出てしまうので、ダメ。2.5%ではコナギやホタルイなどが枯れた一方、イネに被害は認められないので、この濃度なら選択的に除草できることが分かった。むしろ散布後のイネは酢酸を吸収して元気になったようで、大きな葉が伸びて来た。また、コナギなど草種によっては葉齢が増すほど効果が高く、逆に6葉以下のコナギには効果が認められなかった。これまで対応できなかった大きい雑草に対する対策として、中後期除草こそ活用すべき技術であると考えられる。

今回の実験では、いずれの区も化粧品用のスプレーを使って散布したが、実際の田んぼに導入する場合は、セット動噴などの利用が考えられる。また散布時間は、露がある朝や夕方、曇天時、散布後に雨が降るような条件では効果が落ちる。

2 「取りこぼした田んぼの雑草に、酢の後期除草」滋賀・吉田道明(下の写真)

上記の佐々木さんの指導のもとで、昨年から(2019年)酢除草を始められた。無農薬で初期に取りこぼした雑草が後期まで残った場合、これまでは何の対策も取れず諦めていたが、これなら枯らすことができると大喜び。

酸度2%の酢を10a当たり50ⅼを、6月初旬にセット動噴で、落水してから、田んぼの雑草が多いところをねらって散布したところ、はびこっていたコナギの多くが消えた。ただ水中にあったコナギは残っていて、イネ科雑草であるヒエも全く枯れていない。イネにも影響なし。

2年間の実験から、雑草が大きくなってからの方が効果が高い。佐々木さんによると、カンカン照りの日の13~14時頃に散布すると効果が高いとのこと。

なお、畔草除草にも適用でき、酸度10%を背負い式の動噴で散布すると、2週間後クローバは枯れて来て、その他の雑草もところどころ枯れて来た。畔際のイネにも酢がかかったが被害はなかった。

★酢酸除草は、ヒエには効かないがコナギやホタルイには有効そうなので、試してみる価値はありそうだ。

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