今年もコロナ禍で研修会がほとんど開催されなかったが、今日は久しぶりにコウノトリ育むお米生産部会の反省会が行われた。今年は収量・品質・単価とも厳しい年だったので1年の締めとして開催されて良かった。来年に向けて励みになる。
挨拶<支部長より>
今年も去年に続いてコロナ禍で米価ダウン。異常気象で収量も品質もダウン、特にコウノトリ米は自然栽培なのでダウン傾向が顕著だった。需要はあるが2月には欠品が出るという不作ぶりだった。多収穫米の減農薬つきあかりも9俵/10a目標だったが、6俵と予想外に少なかった。需要に対しては供給責任があるので、心して取り組みたい。
令和3年産の問題・課題<普及員より>
皆さんが提出された「課題整理シート」を元に話されたが、やはり〝雑草と収量の反比例関係゛に関するものが多かったとのことで(僕自身もそう書いた)、抑草についての講義が中心を占めたが、今年はいもち病の被害も大きかったのでまずはその対策から。
- 収量ダウンは未熟粒や胴割れによるものが多く、その原因にいもち病の多発が認められるので、以下いもち病への対応策が示された:①耕種管理として、イ)稲わらや籾殻の早期すき込み(分解を早める)、ロ)余り苗を圃場内に放置しない、ハ)水管理において極端な乾湿の変化をさせない。また②資材活用による対応としては、特にケイ酸質資材の活用(補給)による稲体の耐病性向上が近年見直されているとのことで、無農薬では゛粒状草木加里゛を20~40kg/10a、基肥~出穂35日前に散布する方法が示された(これは栽培こよみにも掲載されている)。因みに、カリは川の水の中に十分含まれているので、通常は補給なしでも足りている
- いもち病の主因は、種もみやワラ・籾殻が保菌しているいもち病菌だが、多発生を誘引する気象条件は、冷害や長雨などの異常気象、日照不足とその後の多照、降雨・霧による水滴などで、今年はこれらに該当する
- 抑草のポイントは、①早期湛水で雑草の発芽促進→代かきで発芽した雑草を除去、②水温19~20℃で植え代かきして3日目までに田植え、③田植え時に抑草資材の同時施用(中でもEM糖蜜活性液100l/10aが有効)、④田植え時期は無農薬の場合5月27日以降、⑤活着するまでは最低5cm、その後徐々に深水へ、⑥抑草効果を上げるため止水、⑦機械除草、⑧酢酸除草 ⇒僕自身は③と⑧以外を実施予定だが、③⑧についも研究したい
- ①の代かきは、1回目荒代かきが入水7~10日後(雑草発芽有効積算温度が100日℃)。ヒタヒタ水(水位3~5cm)で水温を上げ雑草を発芽させ、双葉を確認してから代かきする。2回目の仕上げの代かきは田植え3日前までに、深水で雑草を浮かせ除去する
- 雑草の内、種子の小さなヒエやコナギ、ホタルイは浅いところから出芽し、逆に種子(塊茎)の大きなオモダカやクログワイは深い位置で繁殖する。ヒエやコナギが多い田んぼはまだ肥沃度が低く、有機で肥えさせる必要がある。抑草は早期湛水と代かきで行うが、浅く代かきすることがポイント。(N氏によると、ハローはすき込む装置なので、浅くしないと浮かすことができない。雑草の種は手でなでても浮くくらいなので、むしろハローは回転しないで引っ張るだけでも良い。)
- 塊茎のオモダカやクログワイの多い田んぼは、深く耕耘してイモを上に掘り起こし、乾かして殺す。または1年間は畑作(例えば大豆)にするのも一つの方法
- アミミドロはアグリ革命が有効。散布から10日前後で効果が確認できた。散布から2~3日後に葉緑体が抜けて黄色くなり、最終的には黒くなり沈んだ。稲の生育には全く影響は見られなかった。藻が増えすぎる(層が厚くなる)と分解に時間がかかるので、藻の発生からできるだけ早い時期に散布することがポイント
- アゾラの抑制方法は、早期湛水までに土中にすき込む。畔塗りを行い畔際に残るアゾラも抑制。早期湛水中は醸造酢で抑制
- ⑧の酢酸除草はコナギやホタルイには効果的だが、イネ科雑草(ヒエ)は酢への耐性が高く効果的ではない。高濃度にすると効くが、稲も痛めてしまう。『現代農業』2020.9号で酢の特集が組まれたので参考にしたい
食べ比べ
最後に品目を隠して、つや、香り、粘り、甘みについて評価、食べ比べしたが、皆さんの総合順位の投票結果は、1位=減農薬多収穫米つきあかり、2位=減農薬コシヒカリ、3位=無農薬コシヒカリだった。多収穫米のつきあかりが十分勝負できるという自信と、無農薬コシヒカリが最下位というショッキングな結果だった。今や安心・安全は当たり前で、おいしいかどうかが差別化のポイントになって来ているので、これは危機的なのだ。
おまけ:食味品質評価表
僕のお米の評価結果は以下の通りで、食味は5段階評価で一番上のS、外観が未熟粒や胴割れもないが、唯一着色粒のみがみられ、この1項目だけで真ん中のC判定。食味品質は自信を持っていいので、後は収量アップ!。
