10/30(土)、31(日)の2日にわたって第6回コウノトリ未来・国際かいぎが開催されたので参加しました。故郷豊岡市の未来について知りたいという思いと、パネリストに山極壽一さんと福岡伸一さんの名前があったので、ぜひお二人に会いたいというミーハーな気持ちがありました。お二人のお話が聞けて良かったのはもちろんですが、その他のこれまで存じ上げなかった方々にも感銘し、大満足な会議になりました。
ただ残念なのは写真撮影が禁止されていたので、当日の臨場感が伝えられないことですが、上記のリンク先でパネリストや内容等は見てください。また、できればすべてのセッションを紹介したいのですが、力量不足で割愛させていただき、上記のお二人のお話で感銘した点だけを以下に記録しておきたいと思います。
10/30(土)基調講演「いのちをつなぐ共生社会-ゴリラに学ぶ」 山極壽一さん
新型コロナウイルスによる感染症の蔓延は、私たち人間が地球の支配者でなく、地球は細菌やウイルスなど微生物の惑星であることを思い知るいい機会になった。これまで人間は地球環境を操作可能なものと考え、近代科学技術によって人間だけに都合よく作り変えてきたが、いまや限界値を超え地球環境を破壊するに至っている。いったい私たちはどこで間違えたのか?私たちはゴリラを調査する中でエボラ出血熱というウイルス感染症に出会ったが、その原因は、熱帯雨林が市場経済に取り込まれたことで(つまり開発されたことで)、熱帯雨林内での共生関係がそのバランスを崩し人間社会に侵入してきたからと考えられ、今回のコロナも同様だろう。
西洋科学技術(+市場経済)の暴走による環境破壊を止めるには、農耕・牧畜以前の精神世界にならって、いのちをつなぐ共生社会をデザインしなければならない。そのためには、和辻哲郎の「風土」や西田幾多郎の「論理と生命」、フォン・ユクスキュルの「環世界」、今西錦司の「自然学」がその発想のいいヒントになると思う。
10/30(土) セッションⅡ「共生社会を目指して」 この中の福岡伸一さんの話し
生命はつながっている。初めて自然環境問題を指摘したのはジョン・ミューアで、ヨセミテを散策しながら「雑草を1本抜くことは全宇宙に影響を与えている」ことを発見した。後のレイチェル・カーソンにつながる。
最大の害虫は「人間」で、人間は極めて特殊。人間以外は種の保存が最大の課題なので(産めよ増やせよ)、種が第一で個はツールに過ぎないが、人間だけは種の保存(産めよ増やせよ)から自由になった。だから種より個が重要になり、個の生命が優先されるので地球人口は70億まで膨らみ地球に多大な負荷を与えている。こうなった根本原因は人間だけが言葉(観念)を獲得したから。
かつて『利己的遺伝子』という書物が流行ったが、極めて一面的でおかしい、むしろ生物は「利他的」である。例えば植物は光合成の余剰分を他の生物に与えている。コウノトリを育む豊岡市民も同様(これは営業トーク?)。
以上がお二人の話しの超概略でした。なお、このセッションで同席された〝あん・まくどなるど゛さんも印象に残りました。一言のみで申し訳ないですが、「コウノトリに学んで、もっと国境を越えたい」と仰っていたことが印象的でした。これは人間は国境に縛られるが、コウノトリは何ら制約されることなく中国や韓国などに飛来することから発せられました。
最後にもう一点。10/31(日)の2日目はコウノトリを守る活動をしている小・中学生、およびコウノトリが暮らすまちの未来を考える高校生~20歳代の若者が登場しましたが、いずれも頼もしく未来を託したいと思いました。頑張れ!応援するよ。合わせて僕ら老体も少しでも貢献しなければと思いました。