今年は稲作はじめて3~4年目だったが反収がどん底だったので(主原因は雑草が大繁殖してイネが壊滅したことだと思う)、来年こそは根本的に立て直すべく無農薬栽培の本を読み返した。コウノトリ育むお米の農法を開発した民間稲作研究所の2著で、『除草剤を使わないイネつくり』(1999年刊、写真右)と、その続刊『無農薬・有機のイネつくり』(2007年刊、写真左)。後者は2年前にも投稿しているが、改めて学び直した。長年にわたり多くの方が試行錯誤された結果、以下の「水田生物の多様性を活用した抑草技術」が誕生した。
1.湿生雑草のヒエなどは深水管理で防除する
湿生雑草とは、湿地を好むが発芽・萌芽段階に酸素を必要とするもので、タイヌビエ、イヌビエ、ミズガヤツリなど。湛水して酸素不足条件をつくれば発芽数も激減し、水田の水位を深くすれば成長したとしても完全に夭折する。よって田植え直後から5~8cm以上の湛水管理、その後イネの成長とともに水位を15~20cmと高くする深水管理を25~30日間実施すれば問題にならなくなる。
★今年は深水管理したつもりだったがヒエが大繁殖した!深水管理が不完全で田面の露出などがあったのか?⇒機械除草を数回入らないとダメか?
2.水生雑草のコナギなどは100キロ未満の米ぬかまたは米ぬか・くず大豆混合ペレットを田植え直後に投入して抑草する
水生雑草とは、湛水状態の水田環境に適応し酸素不足状態で発芽が促されるもの、あるいは酸素不足でも発芽・萌芽するもので、コナギ、イヌホタルイ、クログワイなど。よって上記の1.ヒエには有効な深水管理が、逆にコナギなどの発芽を盛んにしてしまうという問題が発生する。そこで米ぬか等を水田に散布すると発生する乳酸などの有機酸でコナギの発根を阻害させる手法が開発されたが、米ぬか等の投入時期とコナギの発根時期が合っていることが条件になるので極めて限定的である。さらにこの抑草技術は火山灰土壌では有効だが、沖積土壌では必ずしも効果的でなかった(この辺りは後者の土壌)。
3.田植え30~40日前から早期湛水
上記2.の田植え直後の資材投入はしないで、田植え前にできるだけ長期間(30~40日間)安定した湛水状態を保つと、水田生物(乳酸菌や原生生物、イトミミズ、ユスリカ、緑藻類、浮き草類)の繁殖をうながし、コナギなどの雑草を発生させないことが分かった。
秋に散布した土づくりのための米ぬかや発酵肥料だけではイネの初期生育が不足する場合があるので、田植え前40日頃に元肥を散布し、浅く(5cm程度)耕し、1~2回ドライブハローで砕土・均平する(こうすると入水時の代かき作業が楽になりトロトロ層もできやすくなる)。
4.米ぬかを散布し冬期湛水
これも抑草効果があるが、一方で冬期湛水しただけでは安定した効果がないことも明らかになってきた。その原因は、3月下旬から5月上旬まで乾田状態に戻ってしまい、冬期間にできたトロトロ層も壊れ、イトミミズもユスリカも死んでしまうから。よって冬期湛水は抑草の基礎条件をつくるだけと認識し、決定的な抑草効果は上記3.の早期湛水であることを見失わないように。
5.以上でもオモダカやクログワイなどの宿根性雑草は防除できない
逆に田んぼを乾かすのが有効。例えば、秋にプラウかロータリーで耕起して球根を露出させ、冬期間に乾燥・凍結させたり、ダイズなどとの輪作が最も有効。しかし、冬期間あまり乾燥しない日本海側の地域では、秋に代かきして湛水してマガモやコハクチョウなどの野鳥に球根を食べさせたり、早期湛水によって田植え前に発芽させ練り込む方法などがある。ただマイ田んぼにはあまり宿根性雑草は生えていないので、今のところは考えなくて良いだろう。
以上より、来年の抑草方針は以下の2点に集約される。
- 上記1.湿生雑草のヒエには深水管理と機械除草
- 上記3.水生雑草のコナギなどには早期湛水と元肥、および4.米ぬか散布して冬期湛水
当然だがコウノトリ育むお米マニュアルと一致する。また11/30稲作勉強会で教えてもらった方法ともかぶるところがあるので、次回の勉強会ではこの方針を紹介しすり合わせしようと思う。