岡本よりたかセミナー№5(ZOOM)

野菜作り

この間の局地的大雨でよりたかさんの住まいである郡上八幡の吉田川で氾濫警戒が出るなどにより急遽ZOOMミーティングになった。秋冬野菜の苗作りおよび草対策(復習を兼ねて)が扱われたので、印象に残った点を記録しておきたい。

1.日本の野菜は雨に弱い

原産が雨の少ないところで、日本の気候に合わないものが多い。雨が多いと窒息し根腐れしたり病気になる。そこで畝を立てるのだが、ビニールマルチも土が塗れたり病気になるのを防ぎ地温を保つので優れている。欠点はビニールがゴミになること(このためよりたか氏は使っていない)。病気がちなら代わりにワラを敷いても良い。

2.秋冬野菜:キャベツ、ブロッコリー、白菜の育苗は今月から始める

白菜は熱に弱い品種が多く、気温が低いときに良く育つ。慣行栽培では6月に蒔いて秋冬に出荷する。自然栽培で自家消費する場合は7月種蒔きでも良い。それより遅いと結球が少なくなり、収穫は来春になる。直播きする場合は9~10月にならないと出芽しないので、収穫は来春になる。

これらアブラナ科は葉が開いて冬を越す。葉が立つと寒風に当たり凍ってしまうので倒れて(=開いて)対抗しようとする。しかし、秋までに葉を15~20枚まで増やすと、冷たい風に対して巻いて冬を越そうとし、秋に食べることができる。

3.徒長の原因

①日照不足、②水のやりすぎ:特に温度が高いときの水のやりすぎ⇒イ)冷床で育苗する、ロ)水やりは朝or夕方に。徒長すると細胞壁が薄くなり病気になりやすい。倒れやすく雨水がはねて葉っぱに付くので病気になる。深く植えるがそれでも弱い。

4.作付計画(P62)

相性の良さや連作障害の出にくさで考えた輪作、リレー栽培

  • 春夏:トマト→秋冬:白菜(アブラナ科)を間に植える+香りの強い春菊・紫蘇 (cf:キャベツの場合9月植えになりトマトの収穫時期とかぶる)
  • 又は(春夏:トマトのネットをそのまま使い)→秋冬:つる性のマメ科:例えば、春獲りのエンドウ豆をトマトの間に蒔く
  • 春夏:キュウリ→秋冬:ホウレンソウ
  • 春夏:ピーマン→秋冬:ダイコン
  • 春夏:ナス→秋冬:キャベツ
  • 春夏:インゲン豆などのマメ科→秋冬:カブなどのアブラナ科
  • 春夏:カボチャ→秋冬:ネギ・ニンニク・ニラ
  • 春夏:イネ科(例えば小麦)→秋冬:マメ科(例えば大豆) イネ科は地表面、マメ科は直根で真っ直ぐ下に伸び、栄養を取る場所が異なり競合しないので輪作に良い
  • 春夏:オクラ・トウモロコシ→「翌年の」秋冬:里芋・菊芋

通年栽培

  • ニンジン、タマネギ、レタス、春菊、水菜等:連作障害が出ない
  • サツマイモ、ジャガイモ:地下茎のものはアレロパシーを出すので、後に他の野菜は育たない。但し草だらけの場合は草がバクテリアバランスを整えてくれるので、裏作に他の野菜を持って来てもOK

5.土壌分析

鶏糞:リン酸とカルシュウムCaが多く、バランス的にマグネシウムMgが少ないので、リン酸を吸収することができない(リンの吸収にはMgが必要)。多いミネラルを少なくするのは困難だが、チッソを増やすとCaの利用が増えて減ってくるので、マメ科の緑肥を鋤き込むのが良い。

牛糞:チッソ、リン酸が多く、カルシウムが少ない。緑肥は使えない、草木灰を使う。

耕作放棄地:すべての要素が少ないが、雑草が種を落とすのでバランスは良い。しかし、トラクターで種を落とす前に草を刈り取るとリンPだけが少なくなり、実ものができない。油かすや米ぬかをまく。また選択的ではなく一律に除草するので強い草だけが生き残ることになる。

「腐植」は草が鋤き込まれた値。「固相、液相、気相」は土が団粒化しているかどうか値。

土壌分析は(株)みらい蔵に頼んでいる。6,600円(税込み)。畑の隅4ヶ所と真ん中の土を20cmくらい掘って150~200gずつ採取して混ぜている。1反超の畑は何ヶ所かに分けて調べてもらう。

6.質疑応答

a.種の保存方法

種は瓶に入れ、カビが出ないよう防湿シリカゲルや炭を入れ、しっかり蓋をする。完全ではないが空気が入らず呼吸を止められる。一般的には14℃で冷蔵保存するが虫がついたことがあったので、よりたか氏は7℃以下にしている。これで3年持つ(もっと持つが劣化するので3年以内に使う)。外に出すときは、内外の温度差が少なく湿度が高くないとき。莢ごと保存すると自分の力で種をはじき出すので良い。

b.秋ジャガイモの注意点

phの調整と、そうか病対策として土の中に空気層を作る。

c.山の葉っぱを腐葉土として使う場合の注意点

昆虫の幼虫が入っているものはダメ。取り去ってしまう必要がある。

d.畑にモグラが住み着いた場合

放っておくと、一斉に野菜が枯れてしまうことがある。モグラに根が食われたり、空洞に入ると根がそこでストップし生育が止まる。⇒穴を見つけたらすぐ塞ぐ。音を出すものを設置する(モグラは音を嫌がる)。穴の延長上にモグラの巣を見つけ潰す(但し他に移動するだけになるかもしれない)。

e.ナス、キャベツで雌花がない、花が落ちる

リン不足。元田んぼのところはMgやCaが抜け不足している。⇒スギナやヨモギを鋤き込む。米ぬかや油かすを施す。しかし米ぬかはカビのリスクがあるので米ぬか堆肥(乳酸菌)がベスト。雑草堆肥も良い。根元から離れたところに円形状に5~6cm掘り、そこに堆肥を入れ土をかけて埋める。

f.ダイコンのコツ

ダイコンはそれほど土に力(養分)がなくてもできる。真っ直ぐ下に伸びるよう、円筒状の穴を掘って底の土を踏み固めてから(ここで伸びが止まる)、穴にほぐした土を戻し種を蒔く。または、15cmくらい深く土を掘り返してほぐしてから種を蒔く。

g.ニンジンは砂地でもできる?

砂地は物理性が良く穂肥力があるが、水持ちが悪い(水はけが良い)。ニンジンは良くできる。

h.トウモロコシを1畝作ったが、実がまばらで詰まっていない

受粉不足。風媒花で他家受粉なので、たくさん塊で作って受粉しやすくなるようにする。通常、正方形状の圃場に5~10の複数畝を時間差を設けて作る。雄花が咲いても雨で流されることがあるので、受粉の機会を複数回設ける。もし90cm畝で作るなら、千鳥で3列植えにする。

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