畑仕事の十二カ月

野菜作り

今年から野菜にも本腰を入れる予定なので、1年の計は元旦にあり(最初にきちんとした計画を立てるのが大切だ)ということから表題の本を読んだ。

岡本よりたかさんの『無肥料栽培を実現する本』2冊が、最新の科学的知見をもとに自然の摂理を知ることに重点が置かれているのに対して、こちらは日本で古くから伝わる農書(農事暦)から、先人たちの知恵を学ぶもので、一見真逆のようだが、実は自然の森を土作りの基本にして農薬も化学肥料もいらない畑を実現する点で同じなのです。

著者が農書に関心を持ち始めたのは20数年前で、農業高校教諭時代に農薬や化学肥料に頼っている近代農業から環境にやさしい栽培への脱皮を目指していたとき。岩波文庫から出ている農書『農業全書』や『百姓伝記』、のちに『会津農書・会津歌農書』に出会ったとのこと。農書は安土桃山時代から江戸、明治にかけて書かれた農業の専門書で、鎖国による循環型社会が形成されていた時代ならではの持続可能な農業技術が記されている。

なかでも農事暦に関心を持ったとのことで、昔の人は季節への関心が異常に高いのです。農事暦は「旧暦」(月のリズムと太陽の運行の両方を基にした暦。太陰太陽暦)で記載されていて、旧暦の1日は地球の自転を、1カ月は月の満ち欠けを単位としている。明治になって日本に導入された「新暦」(太陽の運行を基にした太陽暦)より1カ月ほど遅い。月の満ち欠けは植物の生長だけでなく、人間の出産などの生理や潮の満ち干など自然の動きにも連動しており、ヨーロッパの有機農業・シュタイナー農法にも似たような記述があるとのこと。国が変わっても人間は同じことを考えるものですね。

一月 農事暦をつけよう

  • 6日 ◎小寒(旧暦12月1日頃)
  • 7日 芹すなわち栄え:冬の寒気の中でセリの葉が開きはじめる
  • 10日 水温かをふくむ:土の中に陽気が生じ泉の水が湧き出し始める
  • 15日 雉始めて鳴く:キジの雄が雌を求めて鳴き始める
  • 21日 ◎大寒:1年のうちでもっとも寒さが厳しい時節
  • 22日 フキの花咲く:フキノトウの蕾が開き始める
  • 25日 沢水凍りつめる:沢の水がびっしりと凍りつめる
  • 30日 鶏始め鳥屋に就く:ニワトリが産卵のため小屋に入る

1月は基本的に農閑期。記録(日記)をつけることを勧めるだけにするとのことで、できれば5年連用や10年連用の日記が推薦だったので、1年物を去年に買っていたが、『5年連用日誌』を導入して試すことにした(下の写真)。

また筆者が大好きという農書『百姓伝記』も取り寄せた(絶版で中古本)。ただ古語なので読み取れるかどうか?

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