草の管理2:草の役割を知ってうまく活かす

野菜作り

昨日に続いて『無肥料栽培を実現する本』から、草の役割を学びたい。雑草は意味もなく生えているわけではなく、必ず役割を持って成長していく。その役割を推測して、無肥料栽培にうまく取り入れることができれば非常に生産的だ。

メヒシバ、エノコロクサなどのイネ科

土がやせてくると、とりあえず土の中にミネラルを増やそうと自然界は動き始め、植物が芽生える。植物が光合成を行って土に炭水化物を送り込み、また有機物として土に戻り、あるいは雑草を求めて虫が来て、それも有機物になり、やがて分解してミネラルになっていく。

やせた土地に最初に生えてくるのがイネ科の雑草ではないか。イネ科は葉を広げなくても効率の良い光合成を行える能力があり、種類によっては窒素固定エンドファイトと共生しているので、空気中の窒素を使うことができ、やせた土地に糖やフルボ酸などを送り込んで微生物を増やしながら土を豊かにしようとする。土が豊かになれば、ミネラルを植物に供給できるようになり、他の草も生えてくる。

ナズナ、タネツケバなどのアブラナ科

イネ科同様、やせた地に生え、土を豊かにするには必要な雑草ではないか。

アカザ、シロザなどのアカザ科

アカザ科は背が高くなるものがあり、それらは根が深く、土を耕す力を持っている。しかもアカザ科は土壌中の農薬成分を吸着してくれる力もある。荒れた地を浄化するのがアカザ科ではないか。

クローバー、レンゲソウ、カラスノエンドウなどのマメ科

窒素を固定する根粒菌と共生しているので、やせた土地を豊にしてくれる。わざわざマメ科の植物の種を蒔いて、土に窒素を取り込むこともある。

ギシギシ、タニソバなどのタデ科

弱酸性土壌に生えてくることが多いので、土壌の㏗を上げる能力を持っていることが想像できる。畑ではギシギシが生えてくると、作物が育ちやすくなりつつあると歓迎される。ただ根が太くて深く、繁殖力が強いので引き抜くことが多いが、根絶させるのは難しい。作物を育て始めると自然と消えていく。

ハコベ、ノミノツヅリ、ミミハグサなどのナデシコ科

地を這うように育つ雑草で、土を守るためには大切な草。また、花を咲かせるのでミツバチの蜜源になり、虫によって受粉する植物の繁栄を助けている。

イヌビエ、スベリヒユなどのヒユ科

基本的に地を這うように育つので、土を保護する。また糖を持つものも多いので、動物の食源になり、動物と共生関係にある。

イチビ、ムクゲ、フヨウ、オクラなどのアオイ科

大きな花を咲かせ、ミツバチの蜜源になったり、虫媒花であるウリ科などの受粉もスムースに行く可能性がある。

ヨモギ、ノボロギク、ハキダメギクなどのキク科や、ホトケノザなどのシソ科

殺虫成分や香りなどにより、虫の増殖をコントロールしていると考えられる。また冬の間に生えるこうした草は表土を守ってくれ、背があまり高くならないようであれば、ある程度畝の上に残しておくのも有効。

スギナなどのシダ科

地下茎の植物は、地表面に多くの根を張り作物の成長を阻害するので、作物を植えるところはある程度刈り取り、根を除去する。ただ地下茎なので完全に消滅させるのは難しい。それより役割を知って利用する方が得策。

スギナは葉に多くのカルシウムを含んでおり、枯れて土壌に戻ると、土を酸性土壌から弱アルカリ性にする。つまり、スギナが多いということは、土が酸性に寄っているサインなので、草木灰などのアルカリ性のものを土の中に混ぜ込むという対処方法がある。スギナによって土壌がアルカリ性になればやがて消えていくし、地下茎が土を耕すという能力もあるので、決して敵にする必要はない。

以上、作物は弱い植物なので、基本的には雑草はコントロールする必要がある。畑に良い草として、クローバー、カラスノエンドウ、ナズナ、スギナ、ハコベなどがあることを覚えておいて損はない。

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