草の管理:抜くべき草と抜かない草

野菜作り

自然栽培は、自然界の生きものの命の営みを最大限に活かす栽培法だが、雑草はすべて残すことができず、如何にコントロールするかが非常に重要になる。そこで、9/14のと里山農業塾の特別講義をされた岡本よりたかさんの書籍『無肥料栽培を実現する本』から、雑草の管理方法を学ぶことにする。

■抜くべき草:作物の成長を阻害する草

例えば、イネ科のように毛細根が地上部を覆うタイプ、地下茎で作物にからむもの、背が高くて光合成を阻害するもの。

  • チガヤ:根が深く、毛細根は地上部を覆い、地表部の水分を横取りする
  • ヤブカラシ、カナムグラ、クズ:作物にからんで倒したり、光合成を阻害する
  • ササ、セイタカアワダチソウ:アレロパシーを持ち、他の植物の成長を阻害する化学物質を出す
  • オオアレチノギク、アカザ、シロザ:背が高くなり光合成を阻害する
  • ヒメクグ、ハマスゲ、コウブシ:地下茎の先に球根を持ち繁殖力が強く、あっという間に作物を駆逐する

但し、背の高い草は土を柔らかくし、地下茎の草は土を耕してくれるので、上手に付き合う必要もある。作物にからみそうな部分を取り去るだけでも大丈夫。

いずれにしろ、畝の上は作物で覆ってしまい、雑草を減らすのが最も良い方法。弱アルカリ性にして雑草が生えにくい状態を作るのも一つの方法。

■抜かない草:作物の助けになる草

地表面を守る、虫を寄せ付けない、成長を助ける、栄養分を与える草。

  • ヨモギ:キク科の植物は虫除けになる。但し虫がゼロになることはなく、ヨモギは地下茎の植物なので生えすぎると作物の成長を阻害する。適度に生やすか、代わりに春菊などを利用した方が良い
  • ハコベ、カラスノエンドウ、スギナ:土壌を弱酸性にする。酸性度が強すぎる場合に生えてきて、土の状態を良くしてくれるのでとても役に立つ。カラスノエンドウなどのマメ科は、糖を出すことでアリを呼び、アリがアブラムシを集める習性があるので、作物の被害を減らしてくれる。また、根粒菌という窒素を土に固定してくれる窒素固定菌と共生関係にある。さらに、背も低く、光合成を阻害するどころか、土を紫外線などから守ってくれる
  • ホトケノザ:他の雑草の生育を抑えてくれる
  • スベリヒユ:地表面を覆い、微生物や作物の根を守る
ヨモギ(我が畑より)
ハコベ(畑の雑草図鑑より)
カラスノエンドウ(こちらから)
スギナ(こちらより)
ホトケノザ(我が畑より)
スベリヒユ(こちらから)

雑草が地表面を覆うのには意味がある。紫外線から守る、土が乾き過ぎるのを防ぐ、虫たちが隠れる場所を作る、霜など冷たい空気や水分から守る、枯れて土に戻ると土を弱アルカリ性にしてくれるなど。特に地を這うようなスベリヒユなどは、畑の中に残しておいた方が土を守ることにつながる。

■草刈りの方法

草刈りをする場合の注意点は以下。

  • イネ科は成長点が地表ギリギリのところにあるので、5cmほど切り残すと植物ホルモン「エチレン」を生成して再生が始まる。むしろ増える場合もあるので、刈り取るときは土を切るように刃を入れる必要がある。またはエチレンが出ないように、作物の背丈より少し低い位置で切るか。イネ科がまだ背が低い状態のときは、引き抜く方が確実。
  • つる性の草は、成長点がつるを伸ばした先にあるので、つるの先を切ると勢いが弱まる。
  • 地下茎の草は刈り取っただけでは地下茎が残り、簡単に復活してくる。根をすべて取り去らないと無くならない。そのため共生することを考える方が無難。スギナやヨモギなどは土を良くしてくれるし、セイタカアワダチソウは土を耕してくれる。どうしても無くしたい場合は、草マルチなどを利用して光合成を阻害すれば、やがて弱ってくる。
タイトルとURLをコピーしました