4/20(土)は4/8に続いて自然栽培野菜コースの№4で、トマトと落花生の栽培について。講師はNICE FARM代表・廣和仁氏。
■トマト
原産:南米(アンデス山脈高原地帯)、ペルー、エクアドル。ナス科、ナス属。多年生。生育過程:10~30℃、冷涼で強い日差しを好み、高温多湿を嫌う。気温が30℃を超えた環境では花粉稔性の低下により着果障害や不良果が増加し、最低気温が5~10℃を下回ると障害を受ける。適湿度は65~85%であり、これ以下では生育が劣り、これ以上では病気が発生しやすくなる。トマトは米国で最初に認可を受けた遺伝子組み換え作物。南米原産のトマトの原種はすべて小さなミニトマト、突然変異で大きくなった。
連作障害:根に付く菌は植物で決まっており、同じ野菜ばかり作り続けると菌が偏ってしまい、トマトでは青枯れ病等の障害を受ける。菌を多様化するため雑草を生やすが、それでもナス属はリスクを避ける意味もあり、連作は3年までとしている。
NICE FARMの栽培品種:アロイトマト(大玉)、ステラミニトマト、ブラックチェリートマト、ホワイトチェリートマト、シュガーランプ、サンマルツァーノ(主に加工用)、金色ミニ。因みに、甘みにこだわるのは日本だけ、世界はこだわらないとのこと。種の入手先:『たねの森』(ほとんど固定種)。なお、NICE FARMさんは野菜のセット販売をされている。
定植の実習:横植えと縦植え
品種:ステラミニトマト(固定種)。圃場:ハウス(畝上幅70cm×20m・株間(横植え)80cm×2条、(縦植え)60cm×2条。
木村式は、一番上の葉っぱを除きすべて葉っぱを切り取り(切り口は乾燥させる、または時間がないときは切り口に表土をさっと塗る)、ポットごと水に浸けてから、4~5cmくらい掘って横に寝かして植える(深く植えない)。




横植えする理由は、白い毛がついている茎から(地上に出ているときはここから水分を取り込んでいる)、たくさんの根が出てきて、地上部が大きくなるようにするため。
横植えは場所を取るなどするので、NICE FARMでは縦植えと半々にしている。縦植えする場合は、一番下の葉っぱだけを切り取り、土を盛って、そこから根が出るよう植える。(注)実習したハウスでは1株除きすべて縦植え(下の写真)。

コンパニオンプランツとして、枝豆を一緒に植える:トマトの定植と同時に、トマトから20cmくらい離して、枝豆を種蒔きする。トマトの定植時は枝豆はまだ種なので、トマトより大きくなってトマトの成長を邪魔することなく、枝豆の根粒菌が空気中のチッソを固定してくれるので肥料が不要になる。(上の写真の小さい丸い穴が枝豆用だが、近すぎるので、もう少し離して播種する必要あり。)
トマトは芽が出るまで水やり不要だが、枝豆は1~2回水やりが必要。『雨の降る前日に植えれば水やり不要』:このことはすべての作物に共通で一番楽なやり方。
なお、枝豆を収穫する際は、根っこは残す。根粒菌が根に付いており、11月頃に根から土に移行する。春には根も分解されて土に還る。
果菜類は最初の花は摘み取る:摘み取らないで残すと、実ができすべての栄養が集中してしまうので、まずは根や木の成長を優先させるため摘み取ってしまう。トマトは葉が3枚付くと、花が1つできる。
自然栽培では左右対称に育ち(慣行では肥料により左右対称にならない)、自然栽培トマトは水に沈む。
■落花生
原産:南米大陸、ボリビア。マメ科、落花生属、1年草。生育過程:20~30℃。発芽適温:25~30℃と高温を要する。播種期:5月下旬~6月上旬。乾燥に強いので水はけの良い砂質壌土に向く。粘土質の多湿な土壌では上手く育たない。発芽に高温を要するので、ポリマルチを敷いて地温を上げると良い。黄色の花が咲いて、後子房柄が地中に伸びて結実するので、関東では発芽後40日くらいでマルチを外すが、寒地では収穫まで外さない。
播種の実習
品種:おおまさり(固定種)。圃場:径9cmポットに1粒播き(後日、畝上幅70cm×30m・株間50cm×2条で定植する)

品種:黒い落花生、おおまさり。乾燥させたら日持ちする。非常に人気がある。
とにかく畝を高くする。最低でも30cm。幅はおおまさりは大きくなるので80cmは必要。マメ科ゆえ一切肥料は要らない。
■果樹
柿、イチジク、モモ、梅など。一般的に品種改良されていないものは自然栽培で育てやすい。
50~60cm穴を掘り、底に備長炭などの炭を敷き(マイマス電子でチッソを引き寄せる)、埋め戻す土は平らでなく余盛する。木の先端を折り曲げ、固いところと柔らかいところの中間で切り落とす。
剪定は葉の葉脈と同じ形にする。葉脈に該当する枝から下に伸びている小枝は切り落とす。この剪定の仕方は野菜も同様。地上の枝の形は、地下の根と相似形である。
おまけ:前回4/8の農業塾の実習で植えたジャガイモ、ダイコン、ニンジンが4/20には以下の写真のように芽が出ていた。


