4/6(土)のと里山農業塾 自然栽培野菜コースに参加した。1/26に続いて廣和仁さん(NICE FARM代表)による講義と実習で、ともに即実践に結びつく内容なので、まとめておきたい。
■講義
はじめに:今年は暖冬で例年より早くジャガイモが植えられそうだったが、3~4月は寒く植えるのを延期した。先日畑を起こしたがもう少し乾き切っていなかった。春の耕起で1年の土の状態が決まってしまうので重要。例年満月(今年は昨日)に起こし植える。ジャガイモ以外の野菜はもう少し畑が乾燥するのを待ってから、植える。
F1種と固定種:飯食うためにはF1種。固定種より病気に強く、生育早く、収量多い。
好光性種子と嫌光性種子:種は、種の厚みの2~3倍の深さに植える。好光性種子は浅く、嫌光性種子は深く植える。
- 好光性種子(種が大きい)=レタス類、ニンジン、パセリ、シソ、バジル、セロリ、春菊、カブ、ゴボウ、ミツバ、イチゴ
- 嫌光性種子(種が小さい)=カボチャ、メロン、トマト、ピーマン、スイカ、ナス、キュウリ、大豆、タマネギ、ネギ、ニラ、ダイコン
畝の高さ:水好か水嫌かで畝の高さを以下のようにする。但し、土壌が粘土質ならもう少し高く、砂質ならもう少し低くしても良い。
- 水好=10~15cm。キュウリ、ナス、ピーマン、セロリ…東南アジアが原産
- 中間=15~20cm。ニンジン、ダイコン、トウモロコシ、カボチャ
- 水嫌=20cm以上。トマト、スイカ、メロン、タマネギ、ジャガイモ、大豆、落花生
発芽するまでは絶対に水を切らしたらダメ:くぼみを作って種を播き薄く土をかぶせれば、くぼみに水が溜まって切らしにくい。水やりは9~10時が良い(昼間に温まる)。夕方にやるのは、温まったところを冷やすので避ける。
自然状態では枯葉などが上にかぶさる:枯葉の代わりに黒マルチや不織布で覆うことあり。籾殻を播くのも良い。好光性種子の場合はあまり厚くかぶせられない。
条播きと点播き:条播きは一直線上に等間隔で播く、点播きはある間隔ごとのポイントに数粒づつ播く。
間引き:野菜株の最終的な間隔(葉っぱが互いに重ならない間隔)になるよう間引きするが、それを想定して播種する。間引きは出芽率の問題と互いに競わせて強いものを残すという意味がある。
初期の草取り:野菜より草の方が強くて大きくなるので、播種後の初期は草取りが不可欠。手で取る、ハサミで切り取る、三角ホーで削り取るといった方法がある。または除草を兼ねた土寄せでも良い。
以上、発芽するまでの水、間引き、初期の草取りさえ守れば、後は放っておいても野菜は育つ。
■実習
ジャガイモ(馬鈴薯)
原産:南米(アンデス山脈)、ナス科・ナス属、多年草。生産過程:15~25℃。ph6前後の酸性の土地が適している。冷涼な気候、やせた土地にも強い。その反面病害や虫の被害を受けやすく連作障害も発生しやすい。北側倉庫など涼しい場所で段ボールに入れて保管。芽や緑化した塊茎には毒性成分ポテトグリコアルカロイド(ソラニンなど)が多く含まれ中毒の基になる。
<発芽防止剤>米国など収穫後クロロプロファムという薬品を散布して発芽を抑制する方法を取っている。日本では除草剤として登録されている農薬。日本では放射線照射で発芽を抑制してり、ジャガイモだけに認められている。

実習の品種:レッドムーン(固定種)/圃場:露地、畝上幅60cm×30m、株間30cm×1条(上の写真の左側の畝)
畝幅50cm(~60cm)、高さ25cm以上の高畝で、深さ7~8cmの浅植えとする。二つに切る場合、頂部の方が芽が出やすいので、頂部を二分するように切る。切り口を上にして植える(慣行の逆向き)。切り口が乾燥してから植えるが、時間がないときは表土を塗って殺菌してからでも良い。


実習では、二つに切らないで丸ごと植えることもした(上の写真)。

ともかくジャガイモは何をしなくてもバンバンできる。耕作放棄地で最初に栽培するもの。水はけだけ注意。自然栽培の方が生育遅く、色も薄く、収量も少ないが、出来上がりは問題ない。
ダイコン
原産:中東、地中海地方、アブラナ科・ダイコン属、越年草(2年草)。発芽温度:15~30℃、生育過程:10~25℃。種は嫌光性、しっかり覆土する。株間30~50cm。
F1の青首大根が8割。種蒔き後3カ月でできる(固定種はお勧めできない)。青首大根は一部が地上に出ているが、白首大根はすべて地下に埋まっており葉っぱだけ地上、よって収穫が大変なので、ほとんどが青首。但し白首は冬場も土の中で大丈夫というメリットあり。
実習の品種:紅くるり(F1種)/圃場:露地、畝上幅60cm×15m、株間25cm×3条・3粒播き

ニンジン
原産:アフガニスタン(中東・中央アジア)、せり科、ニンジン属、2年草。生育過程:15~25℃。涼しい気候が適しており、夏播き・秋収穫が良い。有機質に富んだ砂質土壌が最適。加湿に弱く水はけが悪いと根腐れを起こす。日陰は避ける。ほとんどがF1種、雄性不稔。
実習の品種:バイオレットハーモニー(F1)/圃場:ハウス、畝上幅70cm×22m、株間10cm×1条、3~4粒播き



雑草の処分方法:10cmくらいの雑草ならすき込んでも良い。または草刈りして乾燥させた後すき込む。燃やすのが一番良いが、野焼き禁止で難しい。それ以上大きい雑草はすき込まないで持ち出す。
浸種9日目:水温17℃と高い、ついに積算温度100℃を超えた
