3/2のと里山農業塾№3

米作り

のと里山農業塾、№1№2に続いて3/2は№3で、№1と同様JAはくい 営農部 販売推進課 粟木課長による「自然栽培概論」およびワークショップ。

木村秋則さんの秘書的存在の熊田浩生さん(木村興農社の主任研究員)の講義を聞いて、粟木さんが講義内容を組み立てられたとのことで、一度聞いただけでは消化できないほど広範囲で深い内容がてんこ盛りだった。例えば、生物の起源や進化史、栽培の起源や生物学、農薬・肥料・遺伝子組み換え等の歴史、自然栽培の歴史解明など興味深い内容が盛りだくさんだった。目次内容だけでも以下に記し、復習できるようにしておきたい。

自然栽培概論の目次

  1. 自然栽培概論~人と自然との関係性の物語~
  2. 現代社会の疑問??~1992年の地球サミット(リオデジャネイロ)で、12歳の少女セヴァン=スズキが行った「伝説のスピーチ」を引用~
  3. 現代社会の疑問??~世界一貧しい大統領の演説を引用~
  4. 地球温暖化・砂漠化・生物多様性
  5. 日本の現状~食の欧米化、食文化への意識低下、伝統食・身土不二の喪失、米価格の低下・国際的な安売り競争、耕作放棄地38万6,000ヘクタール、農業就業人口65歳以上70%、平均年齢66.7歳、担い手不足~
  6. いろんな都合でできている“食”~食べ物のほとんどは『plant植物』ではなく『plant工場』から出来ている(映画「フードインク」)~
  7. いろんな都合でできている“食”~いま子どもたちが食べている食べものの経歴は誰も知らない~
  8. いろんな都合でできている“食”~私たちの体は食べものでつくられている。「食は命なり」「医食同源」~
  9. いろんな都合でできている“食”~経済的にのみ裕福になろうとする人の手に「食」のすべてが独占されてきた~
  10. 農業のはじまり~12,000年前~4,500年前『狩猟採集生活』から『農耕牧畜生活』への大転換~
  11. ①植物の栽培品種化~ヒトツブ小麦、エンマー小麦:風で飛ばない種子を繰り返し集めて植えていった
  12. ②動物の家畜化
  13. 人類の永遠の課題(食料の確保)
  14. 人類のアプローチ(光合成の発見)~1634年ファン・ヘルモント。「小さな種がどうやって大木になるか?」「実験から、木は水を取り込んで生長する!」「木炭を燃やして灰を集めると、気体(二酸化炭素)ができていた」~
  15. 人類のアプローチ(光合成の発見)~1世紀後ド・ソシュール(スイスの科学者)「植物は土から吸い上げた水と空気中の気体、少量の鉱物由来の材料を合成して自分の身体を作っている」~
  16. 人類のアプローチ~リービッヒの最小律~作物の成長に必須な栄養素のひとつでも欠ければ、他の栄養素が足りていてもうまく育たない~
  17. 人類のアプローチ~土の豊かさ=化学物質の発見~
  18. 人類のアプローチ~サー・ウイリアム・クルックスの1898年の年頭あいさつ:いかに世界に食料を供給するか~
  19. 緑の革命(化学肥料の誕生)~ハーバー・ボッシュ法~
  20. 緑の革命(化学肥料の功罪)~①爆薬としても使われ戦争で何百万もの人々が殺された。②固定窒素を買えない農民と大量生産・大量消費する富裕層を産み出した~
  21. 緑の革命(合成農薬の誕生)~DDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)~
  22. 緑の革命(合成農薬の罪)~①病害虫の殺虫剤への耐性、②野生動物の殺傷、③疎水性、親油性による脂肪への付着~
  23. 緑の革命(合成農薬の罪)~「沈黙の春」1962レイチェル・カーソン~
  24. 緑の革命(合成農薬の罪)~レイチェル・カーソンに対するニューヨークタイムズ、DDT製造会社モンサント社長の批判~
  25. 緑の革命(合成農薬の罪)~1963年ケネディ大統領の科学諮問委員会が農薬の使用制限を求める報告書を発表~
  26. 緑の革命(ハイブリッド種の誕生)~ノーマン・ボーローグ、「小麦農林10号」と「アメリカの品種」で、背が低くて収穫量の多い種を開発~
  27. 緑の革命(ハイブリッド種の誕生)~ダーウィン「育成動植物の変異」1868+メンデルの実験で、ハイブリッド種の誕生
  28. 緑の革命(ハイブリッド種の誕生)~1901年石渡(日本)がカイコの病原細菌を、1911年ベルリナー(ドイツ)が同種の細菌を発見~
  29. 緑の革命(ハイブリッド種の誕生)~Bt毒素を原料にした殺虫剤がつくられた~
  30. 緑の革命(ハイブリッド種の誕生)~1990年代バイオテクノロジーの進歩とともにBtの効果を発揮させる遺伝子をジャガイモ、トウモロコシ、綿などに植物に組み込んだ~
  31. 緑の革命の功罪~①化学肥料、②硝石、リン鉱石、石炭、石油、③合成農薬、④遺伝子組み換え種⇒食料大増産による人類大躍進~
  32. 緑の革命の功罪~地球人口20世紀の初め20億人足らず→20世紀の終わり60億人を突破~
  33. 緑の革命の功罪~種子、肥料、農薬が前払いで買えないインドの農民は、殺虫剤を飲んで自殺~
  34. どうして世界には、いまだに食べられない子どもがいるのか?~1kgの牛肉⇒7~8kgの穀物、1kgの豚肉⇒4~5kgの穀物、1kgの鶏肉⇒2~3kgの穀物~
  35. 施した窒素は?~40~50%が大気へ(大気汚染)、10~15%が作物へ、10~15%が雑草へ、20~30%が土へ(地下水→川→海に流出)~
  36. 緑の革命の功罪~亜酸化窒素として二酸化炭素の300倍の温室効果ガスへ、硝酸態窒素として体内に入ると赤血球と結合して血液中の酸素を奪い酸欠になる、1956年アメリカで「ブルーベビー症候群」~
  37. 緑の革命の功罪~①大気汚染、不衛生な水、紫外線、化学物質汚染、地球温暖化、農薬の使用に起因する死者、推定1260万人(2012年)、②環境破壊、CO2平均濃度1800年以前280ppm→現在402ppm
  38. 自然栽培ってなに?~「自然(人の手を加えずに)」の「栽培(植えて育てる)」ではなく、「自然」と「栽培」。自然と人との関係性の中にある~
  39. 化学肥料を与えないと植物は育たないのか?~自然界最強の結合力を持つ窒素~
  40. 自然栽培とは?~多種多様な微生物、昆虫、植物たちが生きること、そして死ぬことによって成り立つ栽培。そこから生まれる農産物という命をいただく~
  41. 動物と植物との違いとは?~①繁殖する、②光合成を行える、③食物を識別して、それを捕らえるために移動できる、④ある個所から別の個所へ情報を伝える電気信号が流れている~
  42. 動物と植物との違いとは?~生物とは、①体が細胞からできている、②呼吸や光合成などの代謝が行われている、③細胞の中に遺伝情報としてDNAをもっている~
  43. 動物と植物との違いとは?~植物は固着性(移動できない)をもつ生物であり、モジュール構造(たくさんの構成要素が機能的にまとまった構造で、各部分は交換可能)でできた体をもつようになった~
  44. なぜ植物は人間に尊重されてこなかったのか?~生物ピラミッド:石(存在する)、植物(存在し、生きている)、動物(感じる)、人間(知能をもつ)。「知恵の書」1509~
  45. なぜ植物は人間に尊重されてこなかったのか?~一神教(ユダヤ教、キリスト教など)では、神は天地創造以前から存在している。神は万物の創造主。多神教(古事記、ギリシヤ的な創世神話など)では、はじめに万物の根源としてカオス(混沌)があり、神はあとから誕生する~
  46. 岡田茂吉氏が伝えたかったこと~自然農法の根本は土を生かすこと。それは土壌に不純物を入れず清浄に保てば、本来の性能を十分に発揮できる。1935年から無農薬・無肥料の農業を開始~
  47. 岡田茂吉氏が伝えたかったこと~これからの世の中は、食糧は有り余るほど沢山でてくる。それでいて食べられるものが無くなる~
  48. 福岡正信氏が伝えたかったこと~1947年から不耕起、無肥料、無農薬、無除草を原則とする自然農法を始める。「食糧を生産するというけれど、百姓が食物を生産するのではない。無から有を生む力をもつのは自然だけである。百姓は自然の営みを手伝うだけだ。近代農業は、肥料と農薬と機械という石油エネルギーで、自然食模造の死んだ合成食品を製造する加工業に堕落した」~
  49. 木村秋則氏が伝えたかったこと~リンゴを実らせるのはリンゴの木です。主人公は人間ではなくリンゴの木です。人間はそのお手伝いをしているだけなんです~
  50. 木村秋則氏が伝えたかったこと~自然栽培とは、化学肥料と合成農薬を使わずに、生物の力を使って栽培する農業~
  51. 有機農業が伝えたかったこと~(IFOAM 2008)有機農業は、土壌、生態系および人々の健康を支える生産システムである。悪影響のある投入物の使用でなく、生態系の諸過程、生物多様性や地域の条件に適合した循環過程に依存している~
  52. 貝原益軒が伝えたかったこと~『養生訓』:1712年に福岡藩の儒学者、貝原益軒によって書かれた、養生(健康、健康法)についての指南書。益軒83歳の著作で、実体験に基づき、長寿を全うするための身体の養生だけでなく、精神の養生も説いている~
  53. 貝原益軒が伝えたかったこと~「人の身は父母を本(もと)とし、天地を初(はじめ)とす。養生の術をまなんで、よくわが身をたもつべし。是人生第一の大事なり」「怒(いかり)の後、早く食すべからず。食後、怒るべからず。憂いて食すべからず。食して憂ふべからず」~
  54. 貝原益軒が伝えたかったこと~東洋の気の思想、健康法⇒生き方
  55. 空海が伝えたかったこと~空海(774~835)。「我を生じ我を育するは父母の恩、高天よりも高く、厚地よりも厚し。身を粉にして命を損じても、何ぞ却って報ずることを得ん」~
  56. 私たちが大切にすべきこと~「古人の跡を求めず、古人の求めしところを求めよ」(空海)
  57. 自然栽培は、仲間を一緒に行う農業ルネッサンス
  58. 経済的理由~①日本人にしかできない農業、②生き方、③子育て
  59. はくい式自然栽培とは?~未来の子どもたちに豊かな食と環境をつないでいくために、「はくい」という地域が一体となって、人と自然との究極の関係性を目指していく⇒地域を元気にしていくこと~
  60. もし自然栽培が子育てだとしたら~自然栽培で最も必要なもの⇒母親がわが子に抱く無償の愛~

ワークショップのテーマ

①自然栽培に取り組もうと思った<動機>、②自然栽培の<長所>、③<短所>、④長所、短所を含めた自然栽培の<魅力>をどう伝えるか?

おまけ1:のと里山農業塾の研修場のある邑知(おおち)の郷公園

研修場のある邑知の郷公園の北面入口

おまけ2:「羽咋」の由来

前泊した休暇村能登千里浜のロビーに掲示されていた
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