1/26のと里山農業塾(米づくり)№1

米作り

12/8開塾式に続いて、1/26のと里山農業塾が開催された。午前は米づくり、午後は野菜コース、夜は交流会と1日中農業塾で盛りだくさんだった。ここでは午前の米づくりの研修内容「育苗土づくりと塩水選」をまとめる。

米づくりは、去年までは野菜コースとは別途に全12回開催の独立した有料コースだったが、今年は野菜コースのオプションという位置付けで、全3回の希望者のみの無料コースに変わった。講師はJAはくいの営農指導課・高嶋忠夫様。場所は開塾式と同様、邑知の郷公園のと里山農業塾研修センター。ここは羽咋市とJAで自然栽培の聖地として25aの圃場が整備された。

最初の注意事項として2点。1点は、この農業塾は収量UPを保証するものではないこと。木村秋則さんも、自然栽培は3年目までは収量ダウン、4年目からUPしてゆくとのこと。2点は、畦畔除草は年4~5回はしてきれいにしておくこと。隣地が慣行農法では除草剤を播かれることがあるので、事前にこちら側の畦は除草剤を使わず刈り取りをすることを説明しておくこと。きれいに管理していないと、好意で除草剤が撒かれたり、田んぼが借りられないなどトラブルになることがある。

水田管理

水田は、積雪地帯では水が溜まるので、排水路を作って水はけを良くしている。乾土効果(下記*参照)UPのため秋起しもしない。ワラを鋤き込まない意味もある。但し近年は、秋起しした方が草が少なくなるケースも出てきたので、秋起しをする田んぼとしない田んぼを実験的にやっている。畦畔除草は10月末に1回やった方が、春の草は少なくなる。

*乾土効果=田畑を乾燥させた後に湛水すると、乾燥させなかったときに比べて多くの無機態窒素(アンモニアなど)が生成される現象。特に水田の土壌でこの現象は著しい。人が施す窒素質肥料に比べて、作物に吸収されやすい。(『自然栽培vol.1』より)

種籾は自家採取で春まで冷暗所で保管、40%は死米。反当り苗箱は15~18箱、播種は1箱当たり100g(種籾の発芽率80~90%)。

育苗土づくりは1.5カ月かかるので、田植えの日を決めて逆算してスケジュールを立てる。はくい式では動物性堆肥は使わない(ワクチン接種されているので)。なお、木村さんのやり方から宮城県のやり方を参考にして変えたので(土の代わりに籾殻を使う)、はくい式と呼んでいる。

場所は、雨のあたらないハウスや作業場の中。醗酵がよりよく進み、雑菌が入りにくい、水はけのよい床で。場所がなければ、最悪畳1枚くらいのポリ容器でも可。

準備する<素材>は、米糠、籾殻、燻炭、水。<資材>は、ビニールシート、温度計。(※籾殻はもし手に入れば、粉砕した籾殻が良い。)

<素材>の体積比は、米糠1:籾殻1~1.5:燻炭0.1。燻炭は醗酵促進剤(微生物)の役目。素材を混ぜて山にして(米糠はダマにしないこと、ダマのまま進めると後で発酵してイネの根を傷める)、水を加える。水分は50~55%、素材を手で握って指の間から水がにじむくらい。水分調整ができたら、ビニールシートを掛ける(水分蒸散の減少と発酵促進のため)。なお、素材量は多い方が醗酵しやすい。

醗酵管理

  1. 発酵は3~5日頃から発酵し始める。
  2. 発酵温度は70℃以上にしない。いい菌も死んでしまうので。
  3. 発酵温度が降下、停滞したら、切り返す。1.5カ月の間に4~5回切り返す。
  4. 温度が下がらなくなったら完成。土と1:1で混ぜて、二十日大根の種子をまき、発芽が順調なら完成。発芽不良の場合(発芽後1~3日で枯れる)、再度発酵させる。
  5. 完成したらビニール袋に入れてストックするか、そのまま置いておいても良い。

育苗土は、上記の堆肥と山土を、堆肥1:山土3の体積比で混ぜて作る。育苗日数によって(肥料分の調整のため)、多少比率を変える。

塩水選

塩水選の目的:未熟籾、死籾、不純物の除去

<資材>生玉子(新鮮なもの、比重測定)、食塩、桶、ザル(浮遊物除去)、ネット(製品籾入れ)。塩分濃度は、生玉子が縦方向に浮き、500円玉の大きさが浮くくらい。目安としては、水20lに塩3kg。水ではなかなか溶けないので、お風呂の湯を使うと良い。海水を使っても良いが、恐らく塩を足さないと必要な濃度にならない。塩水選後、すぐ水で洗う。次の工程に移らない場合は、冷暗所(15℃程度)で保管する。

泥籾消毒

目的:雑菌を除去し、圃場の土着菌を付着させる。自然栽培圃場から事前に表層の土を採取しておき、水を張った桶に入れる。土は多いほどよく、200lの桶に100lくらいの土か(?)。イネの切り株などは除去し、30分浸水させる。その後水で泥を洗い落とす。

浸種

水温(10~15℃)で約7日間浸種、積算温度70℃以上を目指す。

催芽

温水(30℃)で約19時間浸種し、催芽。その後冷水で芽止めし、脱水機で乾燥させる。その日に播種する場合は、冷水は不要。播種まで時間を置く場合は、冷水→乾燥後、冷蔵庫で保管する。

播種

種籾は、苗箱1箱当たり100g、潅水は約800㏄/箱。

おまけ:研修会当日の邑知の郷公園の様子。ちょうど晴れ間がのぞいて青空が広がった。

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