この間、自然栽培米をどうして行くかを探るため、手本になりそうな書籍を読んでいる。コウノトリ育むお米の方はJAマニュアルがあるのでそれに沿って行けばよいが、自然栽培米の方はないのだ。
木村式自然栽培でやる予定だったのだが、木村式は冬は耕起しないで乾燥させるやり方(田起しは春に行う)なので、日本海側の当地は冬は雨と雪で乾燥させることができない、という根本的な壁にぶち当たった。加えて、自然栽培田の収量があまりにも少なすぎるので、収量UPのための方策(例えば、有機資材の投入)が必要と思われる。このようなことから、基本テキスト『イネの生理と栽培』や、『イネの有機栽培』、『自然農法のイネつくり』を読んできた。
今日紹介する『無農薬・有機のイネつくり』は、2004年豊岡市より「コウノトリと共生する水田づくり事業」を委託(2年間)したNPO法人民間稲作研究所稲葉光國さんの著書で、基本的にはコウノトリ育むお米と同様だが、「有機栽培」の考え方は「自然栽培」と基本的に同じということが分かって、大きな気づきを得た。以下、抜粋。
序章 慣行栽培から無農薬・有機栽培へ
有機栽培は化学肥料を有機肥料に代えた農法ではなく、「自然の循環機能を維持増進すること」によって生産を持続させる農法。自然界の草木が、何の肥培管理もないのに毎年旺盛な生長することをお手本に、それを農業生産に活かすこと。
その中心的な技術は、田んぼの副産物である米ヌカの散布と深水管理をベースに、地域によっては冬期に湛水したり(冬みず田んぼ・冬期湛水)、早期に湛水(早期湛水)して水田生物を豊かにするという抑草技術にある。長期間の湛水管理により、植え代前にアミミドロやユスリカ、イトミミズが発生し、その結果、光を大量に受けないと生長できないコナギは確実に消えることが分かってきた。
田植え後は除草のために水田にいっさい入らないで済む稲作ゆえ、労働生産性は飛躍的に高まり、同時に安定した湖沼環境が続く水田を舞台に多様な生き物が復活する。
有機稲作の地道な技術開発の成果が現れ、現在では、労力、コスト、病害虫の発生、冷害、高温障害、食味、栄養的価値、環境再生機能など、どれをとっても慣行栽培を超える成果が生み出されるようになってきた。
国民の健康を憂い、環境の悪化を食い止めようとする強い意志をもって、地道に有機農業を実践する以外にこの国の未来を切り開く術はない。
第1章 成功と失敗事例にみる無農薬・有機稲作のポイント
(1)4月下旬から6月末までの60日間(概ね田植え前30日間と田植え後30日間)水が安定して供給できる田んぼで実践する:水が不足すれば地下水をくみ上げるためのポンプの設置と畦の補修が必要。
(2)播種量60g以下、35日以上育苗した成苗を移植する:昔から苗半作と言われてきたが、有機稲作では苗八分作。草丈15cm以上、4.5葉以上の成苗を移植する。
(3)米ヌカ中心のボカシ肥(発酵肥料)を使う:これで水田の生物を豊かにすることで抑草と自然の肥効を活用する。米ヌカにはリン酸の他に微量要素がバランスよく含まれ、嫌気的条件でも好気的条件でも周辺の微生物が一斉に寄ってきて、水生生物の豊かな生存のベースをつくる。
(4)基本技術を守れば経費と労力はかからない:①深水管理、②成苗移植、③米ヌカ、この3点を中心に本書で述べる基本技術を守れば、田植以降一度も田んぼに草取りに入らず、食味の良いお米が収穫できる。その他、ダイズを作付けし、その跡にイネをつくるという方法、堆肥に米ヌカを混ぜて再醗酵させ土づくりをする方法、レンゲを播種してすき込む方法など、低コスト・小力技術はたくさんあるので、自分の水田の条件に合う方法を取ればよい。
以上、抜粋おわり。
基本的にコウノトリ育むお米と同様だが、冬期湛水を条件とせず、(1)田植え前後の30日間ずつの湛水であれば、自然栽培田でもぎりぎりできるかもしれない。地域の農業用水が5/7開通なので、田植えを6/初旬まで遅らせれば条件をぎりぎり満たす。
★今後、ダイズ、米ヌカ醗酵、レンゲについて実践を前提に調べることにする。
★乾土効果は本当に不可能なのかは継続課題とする。
おまけ:今日は雪がやんで曇り
