イネつくりを基礎から勉強し直すため、何冊かのテキストを読み進めているが、上の写真もその一冊。書いてあることすべてが先人の知恵で貴重な宝物だが、今日は育苗に関して思い当たる記事(平田啓一 生産法人(有)山形川西産直センター『有機稲作の苗づくりと除草』)に遭遇したので、新鮮なうちに記しておきたい。
今年の育苗は、発芽不良で失敗し(5/4、5/5、5/6の記事参照)JA苗を注文した(5/7の記事参照)。原因は催芽もみの冷蔵庫保管が不適切で劣化してしまったからではないかと考えたが(5/10記事)、それ以外にも、育苗に使った有機肥料(ファームパワーフィッシュ)に白いカビが生えたことも気になっていた(4/24記事)。
そこで上記の記事に、「育苗に使う有機肥料の問題」が扱われていたので、以下に要約する。
有機肥料には二つの難点がある。一つは、有機肥料が育苗中に二次発酵して、種子の発芽に障害を与えること。二つ目は、有機肥料の窒素の発現が苗の発育に追いつかず、初期の育成が停滞すること。(以下、一つ目の観点のみ記す。)
芽出しのため温度を加えると、ボカシ肥料が再醗酵を始め、その際に発生する有機酸が種もみの芽を傷めてしまう。おかげで苗箱の中のところどころしか芽が出なかったり、ほとんど発芽しなかったりする。
副次的にphが上がり、床土がアルカリ性になって苗の発育を阻害することもある。さらに、床土の表面に白い菌糸がびっしりはって、上からのかん水を通さなくなるということも起きる。(まさに今年の僕の苗のこと。)
従来、ボカシ肥料などの発酵肥料は、50℃以下くらいの低温発酵でつくるのがコツとされている。しかし、低温発酵肥料の多くは加温によって二次発酵し、発芽障害を引き起こす。従って、二次発酵の余地がないよう完全発酵させるしかない。そこでそれまでの低温発酵のやり方を高温発行に切り替えた。
今年の発芽不良の主原因は、不適切な冷蔵庫保管にあることに変わりないと思うが、未熟なボカシ肥料も一因と考えた方が良さそうなので、来年はファームパワーフィッシュは止め、完全発酵したものに切り替えることにしたい。