『町工場の娘』

研修・読書

今日は白蟻駆除で在宅を余儀なくされたので、父から会社を継いだ娘・2代目社長の奮闘記を2冊読んだ。どちらも全国から見学者が来る優良企業に再生した10年戦記で、まずは『町工場の娘』について。

『町工場の娘』は、東京都大田区にある、今話題の日産自動車など大手企業を取引先とする、自動車部品用のゲージ(測定具)や治工具、金型などを設計・製造する「ダイヤ精機」(小さいながら技術力は超一流で国内随一)を、父の急逝で急遽社長を継ぐことになった娘・2代目社長が、経営危機を乗り越え、「町工場の星」と言われるまでに再建した10年間の奮闘記。感銘ポイントはいくつもあるが、今日は二つのみ紹介したい。

「世の中には幸も不幸もない。考え方次第だ。」シェークスピア:社長に就任後、リストラ、挨拶、5Sで意識改革、QC(品質管理)サークル、…と改革を進めたが、社員の反発が大きく、孤独感に襲われ心が折れそうだったところを救ったのは、本で出合った表題のシェークスピアの言葉。この一節を見た瞬間、霧が晴れるような気分になり、何事も前向きに見ることができるようになった。

顧客が求める「対応力」:創業以来の経営データを分析し、強みは技術力にあると導き出し、それを最大限に生かす戦略を構築した。監査役に見せたところ、ぱっと突き返され、「これは社長であるあなたの目線でしょう。お客様の目線で分析していないのではないですか」と。

「顧客第一」と口では言い、常にそれを意識して行動しているつもりだったが、肝心な時に自分の立場でしか物事を見ていなかった。早速翌日、顧客に「うちの強みって何でしょう?」と尋ねた。すると、「品質が高くてコストが適正というのは、もう当たり前の時代。ではどうしてダイヤ精機に注文を出しているか。それは対応力。急な依頼にも応えてくれる。足繁く通って課題を一緒に解決しようとしてくれる。だから頼んでいるのです。」

意外に思ったが、取引先との距離が近い分、低コストを武器にする中国勢などより確かに有利だ。ではどうすればもっと対応力を高めることができるか?ダイヤ精機は、複数の機械を使い、複数の工程を辿ってつくり上げる製品が多い。製品によって形も生産工程も異なる。究極の多品種少量生産だ。

対応力を高めるために必要なのは、この多品種少量生産を徹底管理することで、生産情報を一元化できるよう、思い切って生産管理システムを一新することにした。パッケージソフト探しと同時に、社員に対する啓蒙活動も始めたが、これまで長年、勘を頼りに生産管理していた社員たちにコンピュータシステムを使ってもらおうというのだから一筋縄にはいかない。会合を開いても疑問や不満ばかりだった。しかし諦めず根気強く疑問や不満に答えていき、システム導入の意義を社内に浸透させていった。

こうして新しい生産管理システムが稼働、以後、受注から納品までの流れをすべて自動で管理できるようになった。その結果、社員が毎日書いていた作業日報や進捗日報は必要なくなり、現場管理者の管理業務も減り、ものづくりに専念できる時間が増えた。急な設計変更にも即座に対応でき、取引先からの進捗状況や納期の問い合わせにも、誰でもすぐに正確な回答ができるようになった。これは取引先との関係強化につながった。

その後も、事業継承、社内改革、人材の確保・育成の改革を行っていく。本当に面白く為になるので、是非本を読むことを薦めます。

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