冬期湛水に対する補助金申請、『イネの生理と栽培』

米作り
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昨日、冬期湛水に対する補助金申請のためのGAPオンライン研修を済ませたので、本日GAP理解度・実施内容確認書その他必要書類を作成し、市の農林水産課に提出した。12月10日の週に現地確認するので水を張っておいてくださいとのことだったが、果たして自然降水だけで溜まるか?他に方法がないので天に任せるしかないが、せめて田んぼの縦方向の漏水を最小限に押さえるべく、代かきまがいのロータリー耕耘だけはやっておきたい。横方向は、2枚の田んぼの内1枚は畦シートがしてあるが、もう1枚はなし。畦塗りもしていないが今回はこれで行く。★市の裁定がどうなるか不明だが、冬期湛水どうする?は来年も検討が必要となるだろう。

イネの生理と栽培』:イネの生理を基礎から学ぶべく左記の本を読んだ。何回も読んで肉体化する価値がある内容で満載だ。復習の意味もかねて、「第二章 そもそもイネという作物は」から、ポイントを抜粋要約したい。(※時間が許せばまた後日、他の章も要約したい。)

第3話 イネは二重人格者である

  • 生きものにとって水は絶対必要だが、水がたくさんある水田に育つイネはこの点で非常に得。しかも水の中は、昼夜の温度差や季節による環境差の違いが少なく有利。
  • しかしマイナスもある。それは水中は酸素が少ないこと。しかもわずかな酸素もイネより先に土の中の微生物にとらえて、水田の土には酸素がほとんど含まれていない状態になる。水田のイネは酸素不足をどう克服しているか?→第5話
  • イネの根は水田の水の中、葉や茎は陸の上にあって、イネは陸上植物でもない水中植物でもないという「宙ぶらりんな性格」をもつ二重人格者である。
  • イネつくりには、深水、浅水、走り水、間断灌水、昼間止水、飽水、花水、落水、土用干し、中干しなど、水にまつわる言葉がたくさんある。それだけ水管理が大切との表れ。

第5話 イネと水の相性を深堀りすると

  • 根はいろいろな働きをしているが、中でも重要なものが、水分やチッソ、リン酸、カリなどの養分を吸収する作用。養分を吸収するためにはエネルギーが必要で、イネの根は、葉からもらった炭水化物を呼吸で酸化してエネルギーをつくり、その力で養水分を吸収している。
  • では、イネの根はどうやって酸素を得ているか?イネは酸素を陸上から送り込めるよう体の仕組みを変えた。それが葉から根まで通じたパイプのような通気組織「通気系」。
  • さらに、この茎葉から送られてくる酸素は、水田の中の毒物を酸化する役割も持っている。水田の中は酸素が少ないから、腐って(還元して)硫化水素やいろいろの毒物が出てくる。そこで根は、地上部からもらった酸素と、その酸素で得たエネルギーを利用して、毒物を酸化して無害にしている。

第6話 田んぼがかかえる二つの矛盾

  • 田んぼの利点は、①水田にはイネに吸われやすい養分がたくさんある。例えばリン酸やカリは日本には資源がないが、天然の灌漑水に含まれているので欠乏は起こらない。②水が養分を根の周りに運ぶ。畑では根が伸びて肥料を探し求めるが、水田はその必要がない。③光を充分利用するにはからだが大きくなることが必要だが、そのためには水が絶対に必要。水の豊かな環境ではイネの生育が非常に速い。
  • しかし、下手に水でからだを伸ばし過ぎると過繁茂になり、倒壊してしまう。また水田は、還元状態になりリン酸や鉄などが有効化して養分が豊かになる反面、有害物をつくる原因にもなるという矛盾がある。根は酸素をもらって毒物を酸化して無害化しているが、それ以上の有害物ができてくると力尽き、酸素呼吸がおかされ呼吸できなくなる。根腐れなど根が傷んで、いろんな働きができなくなる。
  • 有害物を取り除く方法には排水があるが、排水をやり過ぎれば養分も一緒に逃げてしまい、水田の利点が生かされないことになってしまう。水田の利点と欠点は裏腹なことが多いので、良い点を積極期に引き出し利用するのが技術というもの。その一つに、出穂時期が近づいてきたら、田んぼの表面の水だけを落として「飽水状態」に保つ、かつてのイナ作名人たちの水管理がある。

まだまだ続くが、長くなるので今日はここまで。続きは次の機会にしたい。

下の写真は、現倉庫の床コンクリート養生2日目。入口から奥を見たところ。

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