今日は中嶋さんちの播種だったので、見学兼手伝いに行ってきた。神戸・明石から2人(10年ほど前から自然農法で米作りをしており、中嶋さんに指導を受けている)、近くの村から自然栽培仲間2家族3人(1人は10町歩の大規模農家で息子さんと2人で参加)、村岡から1人(定年帰農した女性でポット苗で育苗)、合計8人で播種。
培土は、山土と燻炭が1:1、そこに菜種油かすを40g/箱を混ぜるが、油かすは単独で長期保存できない(?)とのことで、1ヶ月前には培土は混合され、育苗箱に入れられ積み置かれていた。ところどころに白いカビが生えていた。なお、培土は混合機で混ぜ、育苗箱へは手作業で1枚1枚入れた。
従って今日の播種は、水を入れるところからスタート、続いて種籾、覆土を自動播種機で入れる(上の写真)。このとき播く水は非常に少なく、それは、菜種油かすが醗酵して水をはじくので、多くやると種籾が浮き移動してしまうのを防ぐため。育苗箱を平置きした後、覆土の上からたっぷり給水されていた。この方式は変則的だが、覆土が粒状の「すくすく一番」だったので可能な方法で、細かい粉砕土の場合は粘土状になり表面をふさぐのでNG。※播種機は貸すよ、とのことだったが、複数人数での作業となるので、一旦保留。
種籾は下の写真だが、今年は上出来だったとのこと。10℃以下の山の湧き水に1ヶ月程度浸種、自然催芽の籾なので、理想的な鳩胸状態になっている。

理想的な鳩胸状態
播種後、プール育苗の苗床に平置きし、上からシルバーラブをかける。1.5葉までこの状態で、以後はシルバーを除去し、ラブ(不織布)のみとする。(※シルバーラブはシルバーとラブ(不織布)の2枚重ねのシートで、片方のみがくっついているので、反対側はシルバーとラブが剥がせ、ラブのみをかぶせた状態にすることが可能。)
1.5葉の段階で、生育不十分な箇所があると、土ごとごっそり除去し、健全なものに入れ替え、箱全体を健全な状態にそろえる。
★コウノトリ育むお米マニュアルでは、「出芽5mm以下でシルバーを除去、1~1.5葉で第1回目の入水」となっており、中嶋さんの「1.5葉までシルバーをかける」やり方と異なる。コウノトリ育むお米マニュアルはハウスが前提では?との見解が述べられたが、露地でも同様との理解だったので、JA担当に確認することにする。基本的に低温育苗は失敗が少なく、失敗しても大問題にならず後で取り返せるという認識なので、できるだけ厳しい方法を取りたい。

シルバーラブをかぶせて、鉄筋の重しで押さえた
☆シルバーを外した後は、上記のようにシルバーラブを使い続けるか、昨年購入した単独のラブシートがあるのでこれを使うか?または、防鳥が目的なので、ラブシートではなく、もっと安価な「防鳥ネット」を使うか?。いくつか選択肢がある。

左:シルバーラブ、右:育苗箱を平置き中
★露地育苗の弱点は「雨」。特にシルバーラブを外すまでの間に雨が降ると上に水がたまり、シルバーと土表面との間の空間がなくなり、直接接するので、保温効果がなくなり冷える。従って、雨が止めば即水たまりを排水する。
その他教わったこと
さすが8人でやるとあっという間に終りました。時間が余ったので井戸端会議をしました。いろいろ疑問を投げかけ、貴重な意見をもらいました。
- 中嶋さんちでは、荒起しは耕深10cm以下で数回行う、とのこと。
- 荒起しは、イネの根が伸びやすくするため、という意味もある。
- 耕深30cm以上の大きな荒起しをする田んぼがあるが、それは、土の上下層の入れ替えのためで、毎年ではなく、数年に1度が望ましい。
- コウノトリ育むお米マニュアルは、抑草や除草ばかりを重視し、肝心の米作りを疎かにした時期があるらしい。目的は米作りだということを外さないことが重要。
- 畦塗は機械がないとできないので、畦シートで行く。その場合、畦シートを埋め込む溝を掘るのが大変な重労働になる。管理機で土を細かくし、三角ホーで溝を掘る方法はどうかと提案したところ、概ねOkだったので採用する。なお、中嶋氏は波板シートからもっと安い平板シートに移行中とのことだったが、自立力が弱いのでシートを支える杭が多く必要などのマイナスもあるので、当面は波板シートで行くことにする。
- 緑米を刈るコンバインは、別途用意した方が良い。同じ機械だと、緑米とコシヒカリが混じってしまいマズイ。
以上、貴重な教えまでいただき助かりました。ありがとうございました。明日中嶋さんは、今日手伝いに来られた農家さんの播種に手伝いに行くそうで、このような助け合いはかつてあった有り様で、見習いたいなと思った。
(おまけ)中嶋さんちは中山間地域なので、獣害対策の電気柵が不可欠。厳しい外圧下で米作りをされています。

電気柵施設