今日は、MOA自然農法文化事業団の豊岡支部長である中嶋さんちの米の育苗施設を見せてもらいました。一番知りたかったのは、「プール育苗の苗床をどのようにして均平にするか」でしたが、何とかできそうとのイメージができました。他にも発見があり、大変有意義でした。
プール育苗の苗床の作成方法
プール育苗は露地での平置き+育苗用のシートで覆う方法ですが、まずは苗床の作成方法から。上と下の写真が苗床ですが、育苗箱を横に3枚並べて(幅60cm×3枚=180cm)、それを31セット並べます(長さ30cm×31枚=930cm)。遊びを見て、幅が約2m×長さ約9.5mのプールの中に3×31=93枚の育苗箱が並びます。このプールを約60cm離して2つ作ります。よって合計186枚の育苗箱が入ります。これで9反の田植えをするとのことなので、1反当たり20.7枚になり、かなり少なく済んでいます。

プール育苗の苗床
肝心の苗床を均平にする方法ですが、床に水を入れて代かきをすることで、それによってできる水面と土表面の間の凹凸がなくなるように土を均す、というやり方。なるほど!です。早速実施設計し、スケジュール化したいと思います。
なお、プールの底のビニールは、黒のマルチの上にハウス用のビニールを敷く(水深は大体5cm程度)。育苗箱を覆うシートは、シルバーラブという適度な遮光・遮熱性能を備えたシルバーポリトウ(上掛け)に保温性のある不織布(下掛け)を片面接着した2重シートを使用。他に光は通すが熱は通さない(?)太陽シートでもよいとのこと。(※去年は厚さ0.3mmの育苗シートを使った。今年は育苗箱が2倍の200枚になるので、新たに買い足す必要がある。どれにするか比較検討する。)
1.5葉になったら(=出芽揃い後)シートを外し、プールに入水する。スズメなどの対策に防鳥ネット(例えば白の不織布・ラブシート)をかける。釣り糸を張り巡らせる方法もあるが、かなり密に張らないと搔い潜ってくるし、カラスなどは歩いて近づいて来るので、糸を張っても役に立たない。
下の写真にある黒く丸いものは苗床に落ちていた鹿の糞。草食なので無臭だが、腐食まで長い時間がかかるとのこと。

苗床に落ちていた鹿の糞
下の写真は、鹿が田んぼを掘った跡で、クログワイの塊茎を求めて掘ったのではないか、とのこと。このあたりでは無農薬の中嶋さんちの田んぼだけに見られる現象で、他の田んぼは農薬でクログワイがいないので鹿はやってこないようだ。

鹿が田んぼを掘った跡
床土や播種用の便利な器具類
倍土は、山土と燻炭を容積比で1:1とし、肥料分は菜種油かすを40g/箱を入れる(ファームパワーフィッシュでもよい)。覆土は無肥料焼土(すくすく一番)。
播種用の便利な器具類は二つ。一つは混合機(手動ミキサー・ゴールド70MX、下の写真)で、山土と燻炭を混合して倍土を作る際に使うが、これにより燻炭が舞い散ることを防ぐことができる。

混合機
もう一つが倍土を入れる大きな桶(下の写真)。育苗箱に倍土をすくって入れる塵取りのような恰好をした容器も映っているが、自動土入れ機があるので(または自動播種機を導入するかもしれないので)この容器は不要。混合機と桶を購入する予定(混合機は㈱のうけんで購入可)。

倍土を入れる大きな桶と倍土をすくって入れる容器
最後に、育苗箱が余っているので譲ってもよいとのことなので(倉庫が片付いて有り難い)、100枚もらうことにした。但し、稚苗用の底穴の小さなタイプではないので、底敷紙(下の写真)を敷く必要がある。何枚かあるので一緒に譲ってもらう。

育苗箱の底敷紙
今回の訪問は本当に有意義で楽しかったです。中嶋さん、ありがとうございました。